2018.09.05
手を上げる時、90度くらいの所で痛みが出る=肩甲上腕リズムの乱れ。
名古屋市中区大須のたけし接骨院院長の水之江です。
先日、たけし接骨院に肩を90度上げると、痛みで手が挙げづらいという方が来院されました。
その患者様は来院される前に整形外科に通院しており、50肩と診断されたそうです。
確かに一般的にこれを50肩というのだと思います。
しかしこの患者様の場合、肩関節が固まってしまっているわけではなく肩甲上腕リズムが乱れている事で上げる事ができないだけでした。
肩甲上腕リズムが乱れていたせいで硬くなってしまっている筋肉がありましたが。
一般的に40肩や50肩は年齢のせいでなってしまうと思われがちですが、原因はそれ以外の所にあります。
それはタイトルにあるとおり、肩甲上腕リズムの乱れです。
それでは肩甲上腕リズムとは何か?
これは手を上げていく際の上腕骨と肩甲骨の動きの関係の事です。
正常なリズムでは180度手を上げる際に、上腕骨と肩甲骨の動きの割合が2:1となるというものです。
簡単に言うと
上腕骨が60度上がれば、肩甲骨は30度動く、
上腕骨が120度動けば、肩甲骨が60度動くといった具合。
ところが40肩や50肩になってしまうような人の場合、そうなる以前にそのリズムが狂っていて、上腕骨が2動いていても、肩甲骨は1未満の動きしかしてくれない状態です。こうなると下図の赤丸で示した肩峰と上腕骨がぶつかる形になります。(正確には肩峰下滑液包を挟む形)
それを繰り返していると関節の構造に負荷をかけ続けるために、それを防ごうと身体が防御反応で関節を固めてしまいます。
これが40肩や50肩のメカニズムです。
この肩甲骨が正常に動いていない状態はなぜ起こるのか?
これは肩こりの所でも何度も記載してきた事ですが、僧帽筋の中部と下部が働いていない事が原因としてあります。
肩こりのブログ『 肩こりの本当の原因って何? 』⇓
https://takeshi2525.com/column/%E8%82%A9%E3%81%93%E3%82%8A%E3%81%AE%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%BD%95%EF%BC%9F/
( ②中部③下部 )
手を上げていくとき、上腕が上がっていく際にはそれに伴い肩甲骨も動き始めると記載しました。
肩甲骨が外転していく事で、肩甲骨の肩峰という部位が邪魔をせずに済むのです。
ところが僧帽筋の中部と下部が働いていない場合、特にこの『 外転 』の動きがうまくできません。
肩甲骨は、僧帽筋の中部と下部が働いてくれることによって、肩甲骨内側の上から約3分の1あたりが余計に動かさないようにする事ができます。
この肩甲骨内側の上から約3分の1あたりが『 動かない 』が非常に重要なのです。
『 動かない 』事によって、そこが外転していく際の支点となり、回転運動がおこります。
肩甲骨が動かずに、上腕骨だけで手を上げるのには肩峰が邪魔してしまうために限界があって、肩甲骨が外転をして可動域を確保するのですが、その外転する際の支点を作るのが僧帽筋の中部と下部なのです。
だから、40肩や50肩になった事がある人の殆どが、もともとそうなる前に肩こりを感じていたという方々ばかり。
(もちろん先日のブログにも書いたように、僧帽筋の中部や下部が働いていなくても肩こりを感じない人もいますが)
脅しではないですが何か症状があるということは、いつも負荷をどこかにかけ続けているという事になります。
負荷をかけ続ければ、いつか許容量を超えたときに症状がでますが、それが長期にわたると骨や関節や靭帯にも負荷をかけ続ける事になり退行変性の原因になります。
今回のこの患者様の場合も、この状態が続けば関節が固まってしまっていたかもしれません。
ですから慢性的、再発する症状は長い目で見たら体にとって良くないという事を理解しておきましょう。
右肩上がりの国民医療費をみるとたとえ平均寿命は延びていたとしても、健康寿命が短くなっていると感じます。
誰だって元気な身体で年を取っていきたいもの。
これからもそれに役立つ情報発信をしていこうと思います。
みんなで負荷のかからない健康な身体つくりをしていきましょうね!