2017.04.29
野球肘(外側型)上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の少年の治療をしました。
先日、病院で右上腕骨小頭離断性骨軟骨炎と診断された、いわゆる野球肘外側型の少年の治療をしました。
この子のポジションはピッチャー。
現在の症状は肘の痛みと関節可動域制限がこんなにもある状態です。
野球肘の外側型の原因としてよく言われているのは、投球フォームの異常で肘関節に負荷がかかりそのうち疼痛をきたすようになるものと言われています。
病院でどのような治療をしてもらっていたのかを聞くと、患部に対して超音波をかけていたということでした。
それ以外の治療はなし。
これを聞いて原因治療は何もされていないと感じました。
原因を治さなければ、たとえ安静にして患部の痛みがなくなり治癒したとしても再び肘の故障に悩まされる可能性が高くなります。
これでは選手生命が短くなる恐れがあります。
治療に入る前にまず、この少年の肘の全体を眺めます。
すると肘が外反している事が分かります。
(外反:手のひらを前に向けた状態で肘を伸ばした時に、身体の外側へ手が開く形)
治療前
治療後
そして次にグリップをしてもらったところ、橈側軸の握り方になっていました。(親指側にいっぱい力が入る状態)
直近の原因はこれ、橈側が優位に筋収縮しているせいで橈骨頭と上腕骨小頭がぶつかってしまい、それの繰り返しで構造物が壊れてしまうというもの。
これが患部で起こっているせいでこの障害がおこるのですが、多くの治療院でこの部分を見過ごして治療を行っているのが現状です。当院ではこのように患部にどのような負荷がどのようなことが原因で起こり障害をきたしているのかを明確にしていきます。
そうやって明確にしていけばしていくほど、何故そのような力の入り方になってしまっているかという原因が肘以外にある事がわかりますから患部だけの治療とはなりません。
この少年の場合、全身的に体を観察して評価し、橈側優位になっている状態を改善しました。
すると、一度の治療(数分で)しっかり尺側(小指側)に力が入るようになり、肘の外反も改善。
アライメントが正常に近づいたので関節可動域も改善しました。
メカニズムを知らなければ、見るポイントも検討違いのところを見てしまう事になります。
メカニズムを知れば、見るポイントが的確になり、それによって処方される治療や運動療法は即効性があります。
全快とまではいかなくても、かなり回復方向へと変化したことを本人が体感できるくらいに変化します。
逆に見当違いな治療は、おおきな変化を感じる事はできません。
メカニズムを知り、原因を明確にして処方を効果的にする事が早期回復とパフォーマンスの向上には必要不可欠です。
長期間スポーツ障害で悩まれているという方は、この少年と同じように処方が間違っているかもしれませんよ。